- おしらせ
最近よく耳にする「水素吸入」。
水素を身体の中に取り込むことで健康の維持、アンチエイジングなどの効果が期待できると言われています。
医療現場、スポーツの業界でも取り扱われていますが、水素は私たちの身体にどのような効果をもたらすのでしょうか。
今回は、「水素吸入」療法についてご紹介します。
水素(H2)は宇宙一小さな分子であり、そのほとんどが酸素(O2)と結びつき、水(H2O)として存在しています。
また、身体の中でも腸内細菌により産生されており、体内の「活性酸素」と結びつくことで水へと変化し、体外へ排出されます。
私たちの身体は約37兆個の細胞から成り立っているといわれており、その細胞の中にはミトコンドリアという器官があります。
ミトコンドリアは、私たちが食事や呼吸で得た糖分と酸素から、生きるために必要なエネルギーを生み出しています。
その際、副産物として発生するのが「活性酸素」です。
私たちが呼吸によって取り込んだ酸素のうち約2%が活性酸素になるといわれています。
活性酸素とは、呼吸によって取り込んだ酸素の一部が通常よりも活性化した状態のことです。
ヒトを含む哺乳類の場合、取り込んだ酸素の数%が活性酸素になるといわれています。
白血球から作られる活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能としての働きがあり、私たちの身体の働きを正常に保つうえでも不可欠な役割を担っています。
一方で、活性酸素には強い酸化作用があります。
通常、私たちにはこの酸化作用から身体を守る抗酸化防御機能が備わっており、活性酸素によるダメージを抑制・修復することが可能です。
しかし、外部要因など何らかの原因で活性酸素が多く生成され、抗酸化防御機能とのバランスが崩れると、身体が強い酸化ストレスにさらされることとなり、老化、疲労、各種疾患などが引き起こされてしまうのです。
活性酸素には、「善玉活性酸素」と「悪玉活性酸素」の2種類があります。
「善玉活性酸素」は、外から侵入してきた細菌やウイルスから身体を守る免疫機能や感染の防御を担っています。
一方「悪玉活性酸素」は、ウイルスだけでなく身体の細胞まで傷つけてしまい、身体を酸化=細胞を錆びさせてしまいます。
悪玉活性酸素の中でも、特に毒性の強い「ヒドロキシルラジカル」は酸化力が非常に強く、体内のタンパク質やDNAなどを簡単に酸化させてしまい、ガンや生活習慣病、老化の原因の一つになるといわれています。
活性酸素が増える要因はさまざまですが、おもに以下のようなものがあります。
2-1. 太陽の紫外線
太陽の光に含まれる紫外線には活性酸素を産生する作用があるとされています。
強い日差しに長時間皮膚をさらすと活性酸素発生量の増加つながり、光老化(紫外線の長期曝露によって起こる老化現象)や、シミの原因となることが示唆されています。
2-2. 喫煙、激しい運動
私たちが呼吸によって取り込む酸素は、その数%が活性酸素に変化し、代謝過程でさまざまな成分と反応し、その結果過剰になると細胞傷害などを引き起こすとされています。
また、タバコの煙に含まれる有害な物質も、活性酸素を生じさせます。
このように活性酸素は、代謝の過程だけでなく、タバコの煙などでも発生し、血管内皮の組織障害、血栓の生成、脂質過酸化の原因につながるとされています。
運動については、適度であれば問題ありませんが、過度な運動は余分な活性酸素を発生させてしまい健康被害をもたらす恐れがあります。
2-3.ダイオキシン
ダイオキシンによる健康被害も、活性酸素との関与が指摘されています。
ダイオキシンの一種であるポリ塩化ビフェニル(PCB)などが体内に取り込まれ、もともと人体に含まれている物質と結びつくことで活性酸素が大量に発生します。
それによって酸化ストレスが生じ、細胞内のたんぱく質やDNAが傷つき、健康被害をもたらすとみられているのです。
加えて、現代社会のストレスや生活習慣や環境(アルコール、タバコ、大気汚染、化学物質等)によっても悪玉活性酸素は著しく増えます。
その結果、細胞の著しい酸化により、免疫力が低下します。
こうして悪玉活性酸素は、老化を始め、様々な不調や症状、病気を誘因します。
適度な活性酸素は免疫機能を維持するために必要ですが、体内で活性酸素が許容量を超えて産生されると以下のような疾患や状態を引き起こす可能性があります。
3-1. 皮膚の老化
活性酸素が皮膚の細胞を傷つけることでシミ、しわなどの老化現象が引き起こされます。
3-2. 生活習慣病
活性酸素が過剰に発生すると細胞に大きなダメージが加わり、その結果として、糖尿病、脂質異常症などといった生活習慣病が引き起こされます。
3-3. 脳神経疾患
過剰に産生された活性酸素は脳神経にも影響を与え、パーキンソン病、アルツハイマー型痴呆などを引き起こすとされています。
3-4. 白内障
白内障は、目のなかにある水晶体が白濁する疾患です。加齢によって発症するケースが多いですが、それ以外の発症ケースとして、活性酸素の存在がそのリスクを上げていると考えられています。
体調不良、疾患の多くは、悪玉活性酸素が原因であるといわれています。
・老化(肌のしみ、皺、白髪、内臓)
・糖尿病
・高血圧
・メタボリックシンドローム
・アレルギー
・DNA損傷による発がん
「抗酸化」といえば、ビタミンC・E等を思い浮かべる方も多いと思いますが、ビタミン類はすべての活性酸素に反応してしまうので、善玉活性酸素も除去してしまうという欠点があります。
しかし水素は、最も酸化力が強い悪玉活性酸素ヒドロキシルラジカルと結合し、善玉活性酸素には反応しない性質があります。
つまり、身体に有益な善玉活性酸素はそのまま、悪玉活性酸素のみ無毒化するということです。
また、活性酸素が細胞を錆びさせる前に取り除くだけでなく、すでに錆びてしまった細胞を元の状態に修復する働きもあります。
悪玉活性酸素の「ヒドロキシルラジカル」は細胞の中にあるため、細胞膜を構成する脂質にも抗酸化物質を行き渡らせる必要があります。
水素は宇宙一小さく軽い物質であり、水や油にも溶け込む性質があります。
血管内を流れるだけでなく、肺や粘膜を通して体内に取り込まれ、脳や細胞など、身体の隅々まで素早く行き渡ります。
水素は、液体(水素水)やサプリメントで摂取する方法もありますが、胃液や体内バリアの影響を受けてしまう可能性があります。
水素を気体で体内に取り入れることで、液体(水素水)で摂るよりも短時間で多くの水素を取り入れることができるようです 。
水素と結びついた悪玉活性酸素は無害の水に変わり身体の外に排出されるので、副作用はありません。子供からシニア世代まで誰でも水素を取り入れることができます。
2007年のNature Medicine誌に、水素分子は生体内で毒性の高い活性酸素種を選択的に還元する抗酸化物であることが太田成男教授らの論文により報じられると、H2用いた抗酸化予防・治療法の研究が急速に広まりました。
2020年現在日本において水素ガスを吸入する療法は、「心停止後症候群」に先進医療として認定されています。
心停止後症候群については、突然に心停止することによって救急蘇生術までに脳や臓器の機能が損なわれ、回復後に高度の障害が残ったり植物状態になるなどの後遺症が課題としてありました。
従来の低体温療法では限界があることから、水素ガスを酸素に加えて吸引することでダメージを軽減する目的で実施されています。