「マッサージや整体を受けても、翌日にはまた同じ動きに戻ってしまう」──慢性的な首こり・肩こり・腰痛でお悩みの方の多くが経験されている現象です。同じ姿勢、同じ動き方が繰り返され、身体はいつの間にか “痛みを避けるための動き方” を覚え込んでしまいます。

本稿では、Hodges PW & Tucker K(2011年・Pain誌掲載)の理論「Moving differently in pain」を起点に、なぜ “継続” することで慢性化した運動パターンを元に戻せるのかを、Emapsグループ3ブランドの継続症例とともにご紹介します。

📝 用語について ── ブレシア®(brascia®)とは

本稿で言及する「ブレシア®(brascia®/商標登録 第6920621号)」は、Emaps株式会社が保有する独自の臨床フレームの名称です。Brain(脳神経)とFascia(筋膜)を組み合わせた造語で、感覚入力・中枢統合・運動出力の循環に基づいて身体の状態適応性を評価・更新するニューロソマティック統合モデルを指します。イタリア北部の都市 Brescia とは無関係の独自概念です。

3症例に共通する現象 ── 頸部後屈可動域の統一改善

今回、Emapsグループ3ブランドから継続症例をご紹介するにあたり、非常に興味深い共通現象が見られました。3症例すべてで 「頸部後屈動作(上を向く動き)」 のBefore/After 写真が撮影され、いずれも継続施術後に可動域が大きく改善しています。

ここで注目すべきは、3症例の 主訴が異なる という点です。

  • リリーフポート整体院 大手町店 H様:首肩こり(50回継続)
  • リリーフポートフェミナ鍼灸整体院 大濠公園店 M様:腰痛(13回目)
  • てあつい整体院 柳井院 I様:姿勢改善(継続施術後)

それぞれ異なる主訴を持つ患者様が、”頸部後屈” という同じ動作の可動域改善を示された ── これは偶然ではなく、慢性痛が引き起こす 運動パターン全体の変化 と、継続介入によるその再学習を示す現象と考えられます。

起点となる研究 ── Hodges & Tucker 2011「Moving differently in pain」

Hodges PW と Tucker K による2011年発表の論文「Moving differently in pain: A new theory to explain the adaptation to pain」(Pain 152(3 Suppl):S90-S98)は、慢性痛研究の中で運動制御の視点から重要な位置を占める論文の一つです。

この論文では、慢性痛が単に「痛みが続く現象」ではなく、運動制御そのものが “別のパターン” に組み替えられる現象であることが、多数の運動学・神経科学研究のレビューから示されました。

核心となる主張は以下の3点です。

Hodges & Tucker 2011の主張 意味するところ
① 慢性痛は運動制御を “再組織化” する 痛みを避ける代償動作が新しい “普通” として脳に定着する
② 変化は複数のレベルで同時に起こる 末梢の筋活動から、脊髄反射、脳幹の姿勢制御、大脳皮質の運動計画まで、階層的に変化する
③ 変化は可逆的である 適切な介入で新しい運動学習が起これば、”元の運動パターン” に戻していける

この3点目こそが、ブレシア®の “継続” 戦略の学術的基盤の一つです。「同じ動作の可動域が施術で戻る」は経験則ではなく、運動制御の再組織化という科学的裏付けを持った現象です。

ブレシア®視点 ── 4軸横断で見た “運動パターン変化” の階層

Hodges & Tucker 2011 が示した運動制御の再組織化は、ブレシア®の4軸すべてに横断的に関わります。過去弾で解説してきた4軸の各理論と、運動パターン変化の関係を整理すると以下のようになります。

4軸 慢性化で起きる運動パターン変化 継続介入での再学習
軸① 脳幹・脳神経 姿勢反射の “痛み回避モード” 固定(Bushnell 2013) 頸部後屈動作の再開放・下行性抑制の再起動
軸② 小脳・大脳基底核 運動プログラムの誤学習・代償パターンの自動化(Wolpert 2011) Kleim & Jones 10原理による運動プログラムの書き換え
軸③ 大脳辺縁系・視床下部 “痛みへの警戒” が動作に情動的な回避を組み込む(McEwen 1998) 継続で安全感が再学習され、防御的動作が解ける
軸④ 島皮質・内受容感覚 身体を “感じる能力” の低下で動きの粗さが増す(Farb 2015) 内受容感覚の解像度回復で動作が滑らかに戻る

Hodges & Tucker 2011の “運動パターン再組織化” の視点は、これまで解説してきた4軸すべての変化を、”動きとして現れる姿” として統合します。ブレシア®は、この4軸横断の運動パターン変化を “継続” という時間軸で戻していく統合フレームです。

なぜ “継続” が必要なのか ── 中枢→末梢の順序性が再学習を成立させる

Hodges & Tucker 2011 は、運動パターン変化が “複数のレベルで同時に起こる” ことを示しました。ですから、症状のある末梢だけを施術しても、脳幹・小脳・大脳皮質に組み込まれた運動プログラムは変わりません。ブレシア®が採用する “中枢→末梢” の順序性が、運動パターンの再学習を段階的に引き出します。

具体的には、以下の5ステップで継続介入が運動パターンを書き換えていきます。

  1. ステップ1:脳幹への感覚入力(三叉神経への振動刺激等)で、姿勢反射のリセットを促す
  2. ステップ2:深層筋膜(L2)への手技で、誤った運動プログラムの入力側(固有受容)を整える
  3. ステップ3:骨格・姿勢の再学習を促す誘導手技で、新しい運動パターンを試させる
  4. ステップ4:日常動作への転移で、新しいパターンを “普通” として脳が受け入れる
  5. ステップ5:継続することで、Kleim & Jones の10原理が働き、運動プログラム全体が書き換わる

1回の施術で動きが軽く感じられるのは、ステップ1〜3の一時効果です。運動制御の再組織化はステップ4〜5、つまり “継続” によってのみ達成されていきます。

3症例から見える共通構造 ── Emapsグループ3ブランドの継続症例

🔵 リリーフポート整体院 大手町店 ── H様 50回継続

広島市中区大手町のリリーフポート整体院 大手町店に50回もの継続来院をされたH様。デスクワーク由来の慢性首肩こりが主訴で、施術を重ねるうちに首肩だけでなく身体全体のトータルケアとしての効果を実感されていきました。頸部後屈動作は、初回来院時から36回目の時点で大きく可動域が回復し、動きの質そのものが変化しました。

H様の直筆メッセージ:「首・肩こりがつらかったのが通うなかで楽になりました。首・肩だけでなくトータルケアしていただいてとても満足してます。今50回通ってます。」

📚 理論的位置づけ:50回という継続回数と “首肩だけでなくトータル” という自覚は、Hodges & Tucker 2011 が示す「運動パターン全体の再組織化」の典型的な現れです。頸部の可動域改善は “点の変化” ではなく、身体全体の運動制御ネットワークが書き換わったサインと考えられます。
📖 証拠:
・理論解説:なぜデスクワーク由来の首肩こりは “継続” で頸部の動きが戻るのか ── 慢性痛の代償運動パターン再学習を軸①×L2で読み解く(Hodges & Tucker 2011)
・継続症例:「首・肩こりがつらかったのが通うなかで楽になりました。首肩だけでなくトータルケアしていただいてとても満足してます。今50回通ってます。」── 広島市中区大手町のリリーフポート整体院 大手町店 H様の慢性首肩こり×50回継続 経過記録

🌸 リリーフポートフェミナ鍼灸整体院 大濠公園店 ── M様 13回目継続

福岡市中央区大手門のリリーフポートフェミナ鍼灸整体院 大濠公園店に13回目の継続来院をされたM様。出張や長時間デスクワークによる腰の負担と首肩の重たさが主訴で、継続施術のなかで腰のしんどさが減り、日中の辛さが軽減されました。頸部後屈動作の Before/After も明確な可動域改善を示しています。

M様の直筆メッセージ:「腰のしんどさが減りました!日中辛くない!」

📚 理論的位置づけ:主訴が腰痛でありながら頸部後屈の可動域も改善している点は、Hodges & Tucker 2011 が示す「変化は複数のレベルで同時に起こる」の直接的な証拠です。腰の局所症状の背景にあった全身の代償運動パターンが、継続施術で解けていったケースです。
📖 証拠:
・理論解説:なぜ女性の慢性腰痛は “全身ケア” で日中の辛さまで軽くなるのか ── 運動パターン再組織化と主訴を超えた変化を軸②×L2で読み解く(Hodges & Tucker 2011)
・継続症例:「腰のしんどさが減りました!日中辛くない!」── 福岡市中央区大手門のリリーフポートフェミナ鍼灸整体院 大濠公園店 M様の慢性腰痛×13回目継続 経過記録

💪 てあつい整体院 柳井院 ── I様 姿勢改善の継続記録

山口県柳井市南町のてあつい整体院 柳井院に継続来院をされたI様。座っていても立っていても腰痛がある慢性状態で、”自分では姿勢を正しているつもり” なのに痛みが引かないという悩みを持たれていました。継続施術を経て、頸部後屈可動域と姿勢アライメントが改善し、日常の中でも “まわりの人から変化を指摘される” までに至りました。

I様の直筆メッセージ:「姿勢が良くなったねと、まわりの人から言われるようになったこと。孫と楽にトランプができるようになったこと。」

📚 理論的位置づけ:「まわりの人から言われる」= 姿勢が客観的にも変化していることの証拠です。さらに「孫と楽にトランプができる」という日常機能の回復は、Hodges & Tucker 2011 の “運動パターン再組織化” が生活動作にまで転移した状態を示します。
📖 証拠:
・理論解説:なぜ姿勢は “継続” で家族に気づかれるほど変わるのか ── 慢性腰痛の代償運動パターン再学習を軸②×L2で読み解く(Hodges & Tucker 2011)
・継続症例:「姿勢が良くなったねとまわりの人から言われるようになりました。孫と楽にトランプができるようになりました。」── 山口県柳井市南町のてあつい整体院 柳井院 I様の慢性腰痛×姿勢改善 継続経過記録

3症例に共通する回復構造 ── 5ステップ

3ブランド・3症例に共通する回復のプロセスを、Hodges & Tucker 2011 の運動パターン再組織化フレームで整理すると以下のようになります。

  1. 元の主訴の慢性化:症状が数週間〜数ヶ月以上続き、代償動作が “普通の動き方” として脳に定着
  2. 中枢→末梢アプローチの導入:脳幹への刺激で姿勢反射のリセットを促し、末梢の誤入力を減らす
  3. 単発の改善(1〜数回目):施術直後は動きが軽くなるが、日常で戻る(運動プログラムはまだ書き換わっていない)
  4. 継続による定着(13〜36〜50回目):運動プログラムが再組織化され、日常でも新しい動き方が保たれる
  5. 主訴を超えた変化の広がり:局所の可動域改善が全身の動きの質・日常機能・家族との時間にまで転移する

Emapsグループ × brascia® 臨床体系

Emaps株式会社が保有する3ブランドは、それぞれ異なる領域を担当しながらも、共通の brascia® フレームで統一されています。今回の3症例は、”主訴は違うが運動パターン変化は共通” という3ブランド統合の強さを示す事例です。

ブランド 領域 今回の症例
リリーフポート整体院 頭部慢性状態(眼精疲労・頭痛・首肩こり) H様 50回・首肩こり×トータルケア
リリーフポートフェミナ鍼灸整体院 女性の内受容調整(不眠・PMS・更年期) M様 13回目・腰痛×日中機能
てあつい整体院 運動器機能管理(腰痛・肩こり・可動域) I様・姿勢改善×日常機能の転移

これまでの累積 ── 5次元的理論体系から6次元目 “応用展開” へ

本弾で、ブレシア®の理論体系は次のように整理されます。第11弾までで内側5次元が完成し、第12弾は初めての “応用展開” 次元です。

次元 起点論文 説明対象
縦(構造)4軸 Bushnell/Wolpert/McEwen/Khalsa どこに介入するか
横(プロセス)10原理 Kleim & Jones 2008 どう変わるか
横(状態)中枢感作 Woolf 2011 なぜ広範囲に効くか
アウトカム層 内受容 Farb 2015 患者が何を獲得するか
時間軸 可塑性 Apkarian 2011 なぜ継続で可逆化するか
応用展開 運動制御 Hodges & Tucker 2011(本弾) なぜ継続で “動き方” が戻るのか

ブレシア®は “縦4軸 × 横10原理 × 中枢感作 × 内受容 × 時間軸可塑性 × 運動制御応用” の6次元的な統合臨床モデルへと拡張されました。第12弾は理論体系の “使い方” が生活動作の変化として現れる次元です。

まとめ

「同じ動作が改善しても、また元の動き方に戻ってしまう」──この経験は、運動パターンがまだ書き換わっていないことを示しています。Hodges & Tucker 2011 で示された通り、慢性痛は運動制御を “別のパターン” に再組織化しますが、継続的な介入によって元の動き方に戻していけます。ブレシア®の “中枢→末梢” の順序性と、4軸横断のアプローチが、この再学習を段階的に引き出します。

Emapsグループ3ブランドの継続症例(50回目・13回目・複数回)は、”主訴は違えど頸部後屈可動域はそろって回復する” という現象を通じて、この再学習が実際に起きていることを示す臨床的な事例です。もし、慢性的な症状でお悩みでしたら、”継続” がお身体の動き方を戻していく力を、運動制御の科学的な裏付けとともに体験して頂ければと思います。

関連リンク

原典

入門ガイド・過去の関連Hub

3ブランドの領域

※ 本稿は Hodges PW, Tucker K. Moving differently in pain: A new theory to explain the adaptation to pain. Pain. 2011;152(3 Suppl):S90-S98 を起点研究として、Emapsグループの臨床モデル「ブレシア®」の視点から解説したものです。

※ 個々の症状の変化には個人差があります。掲載症例は個人の体験であり、すべての方に同様の変化を保証するものではありません。

※ 医学的な診断・施術が必要な症状については、医療機関にご相談ください。本稿の内容は医療行為ではなく、健康維持のための情報提供です。