ブレシア®(brascia®/商標登録 第6920621号)は、感覚入力・中枢統合・運動出力の循環に基づき状態適応性を評価・更新する独自臨床モデルです。本記事では、継続して施術を受けた方に共通して見られる「主訴として訴えていた範囲を超えた変化」について、Moseley 2007「Reconceptualising pain according to modern pain science」を起点に整理します。Emapsグループ3ブランド(リリーフポート・リリーフポートフェミナ・てあつい)の継続症例から、なぜ自覚していなかった部位や機能まで変わるのかを解説します。
3症例に共通する現象 ── 主訴の外側で起きた変化
今回取り上げる3つの継続症例には、ある共通点があります。来院時に訴えていた症状だけでなく、本人が自覚していなかった部位や機能まで変化していたことです。
- 首の痛みで来院された方が、18回の継続の中で首だけでなく左腕の痛みまで消えていた
- 体の不調で来院された方が、「自分が知らなかった自分のカラダの不調まで整った」と表現された
- 筋トレで肩を痛めた方が、痛みの消失だけでなく筋トレという動作そのものを取り戻された
3件とも、施術の目標として最初に設定していた範囲を超えています。これは偶然ではなく、痛みという現象の性質そのものに由来します。
起点となる研究 ── Moseley 2007「痛みの再概念化」
オーストラリアの痛み科学研究者 G. Lorimer Moseley は、2007年の論文で現代の痛み科学が到達した理解を整理しています。
Pain is an output of the brain that is produced whenever the brain concludes that body tissue is in danger and action is required. Pain is not an accurate marker of tissue state.
(痛みは、脳が「身体組織が危険な状態にあり、行動が必要だ」と結論づけたときに生み出される脳の出力である。痛みは組織の状態を正確に示す指標ではない。)
出典:Moseley GL. Reconceptualising pain according to modern pain science. Physical Therapy Reviews. 2007;12(3):169-178. DOI: 10.1179/108331907×223010
この視点が意味するのは、次のことです。
- 痛みは「そこが壊れている」という信号ではなく、「そこを守れ」という脳からの指令である
- 脳が危険と判断する範囲は、実際に問題がある範囲と一致しないことがある
- 本人が痛みとして自覚するのは、その指令の一部だけである
つまり、患者さんが訴える「首が痛い」は、脳が出している防御指令のうち、意識に上った部分にすぎません。同じ指令系統の中で、腕の可動域が無意識に制限されていたり、呼吸が浅くなっていたり、目の周りに力が入り続けていたりします。本人はそれを「不調」として自覚していません。
ブレシア®視点 ── 4軸横断で見た “主訴の外側” の階層
ブレシア®では、身体の状態を4つの軸で捉えます。主訴として自覚される症状と、自覚されない変化は、しばしば異なる軸に現れます。
| 軸 | 自覚されやすい変化 | 自覚されにくい変化 |
|---|---|---|
| 軸①(脳幹・脳神経) | 首や肩の痛み、頭痛 | 目の開き方、まぶたの重さ、光のまぶしさ |
| 軸②(小脳・大脳基底核) | 動かしたときの痛み | 動作の滑らかさ、力の入れ方の癖 |
| 軸③(大脳辺縁系・視床下部) | だるさ、疲れやすさ | 睡眠の質、気分の波、体温の感じ方 |
| 軸④(島皮質・内受容感覚) | はっきりした違和感 | お腹の張り、息苦しさ、「なんとなく重い」感覚 |
右側の列は、患者さん自身が「不調」として言語化していない領域です。ところが継続的に状態を確認していくと、この列に変化が現れます。そして変化してから初めて、「そういえばこれも辛かった」と気づかれることが多くあります。
なぜ “継続” が必要なのか ── 危険判断の更新には反復した安全経験が要る
Moseley の枠組みでは、痛みは脳の危険判断の結果です。したがって痛みが変わるためには、脳の判断そのものが更新される必要があります。
判断の更新は一度では起きません。人が何かを「もう危なくない」と学習するには、安全な経験の反復が必要だからです。これは日常でも同じで、一度うまくいっただけでは自信にならず、何度か繰り返して初めて「大丈夫だ」と体が納得します。
- 1〜3回目:その場では軽くなるが、日常に戻ると元の状態に近づく。脳の判断はまだ更新されていない
- 4〜8回目:変化が持続する時間が伸びる。動きの中で「痛くない経験」が蓄積されはじめる
- 9〜15回目:主訴が背景に退き、それまで意識されていなかった変化に本人が気づきはじめる
- それ以降:身体の使い方そのものが変わり、以前できなかった動作が自然に戻る
3つの症例で、18回・継続・3ヶ月という時間がかかっているのは、この学習過程が必要だったためです。
3症例から見える共通構造 ── Emapsグループ3ブランドの継続症例
🔵 リリーフポート整体院 大手町店 ── N様 18回継続
首の痛みを主訴に来院され、18回の継続の中で首だけでなく左腕の痛みまで消失されました。
首と腕は神経の走行としてつながっていますが、来院時に訴えられていたのは首だけでした。腕の痛みは「首の痛みのせいだろう」と本人の中で処理されていた、あるいは慢性化して意識に上らなくなっていた可能性があります。軸①(脳幹・脳神経)を起点に状態を確認していく中で、首から腕にかけての防御反応がまとめて解けていったと考えられます。
▶ 首の痛み・左腕のだるさが18回で改善 ── 広島市中区大手町 N様
▶ なぜ首こりは腕まで広がるのか ── 主訴の外側の防御反応
🌸 リリーフポートフェミナ鍼灸整体院 大濠公園店 ── S様 継続経過
継続の中で「自分が知らなかった自分のカラダの不調まで整えてくれました」「目がめちゃ開く」という言葉をいただきました。
この表現は、今回のテーマをそのまま言い当てています。「知らなかった不調」とは、変化して初めて存在に気づいた状態のことです。目の開き方は軸①(脳幹・脳神経)に含まれる領域で、動眼神経や顔面神経の働きが関わります。デスクワークや長時間の緊張が続くと目の周囲は常に力が入った状態になりますが、それが日常になっていると本人は「疲れ目」としてすら認識しません。
▶ 自覚のなかった不調と目の重さが改善 ── 福岡市中央区大濠公園 S様
▶ 整えたあとに気づく “重さ” ── 自覚していなかった不調の正体
💪 てあつい整体院 下松院 ── R様 3ヶ月の継続経過
筋トレで肩を痛められ、3ヶ月前は痛みで全く筋トレができない状態でした。継続の中で痛みがほぼ消え、筋トレを再開できるところまで戻られています。
ここで起きているのは、痛みの消失だけではありません。「筋トレができる」とは、肩関節周囲の運動制御が回復し、負荷に対して適切に力を発揮できる状態に戻ったということです。軸②(小脳・大脳基底核)が関わる運動制御の再学習が進んだ結果と考えられます。「もっと早く相談したらよかった」という言葉は、痛みを我慢して動作を制限し続けることが、回復を遠ざけていたことを示しています。
▶ 筋トレによる肩の痛みが3ヶ月で改善 ── 山口県下松市 R様
3症例に共通する回復構造 ── 5ステップ
- STEP 1|主訴の確認:本人が自覚している症状を起点に、状態を評価する
- STEP 2|自覚外の領域の把握:4軸で確認し、本人が言語化していない防御反応を見つける
- STEP 3|中枢から末梢への順序:脳の危険判断に働きかけたうえで、局所の状態を整える
- STEP 4|安全経験の反復:継続することで「もう危なくない」という学習を成立させる
- STEP 5|自覚の更新:変化してから本人が「これも辛かった」と気づき、身体像が更新される
3例とも、STEP 5に到達しています。「知らなかった不調」「左腕まで」「筋トレ再開」は、いずれも当初の目標設定になかった変化です。
Emapsグループ × brascia® 臨床体系
Emaps株式会社は、脳神経と筋膜を同時に整える独自臨床モデル「ブレシア®」を開発し、広島・山口・福岡を中心に3つのブランドで展開しています。
| ブランド | 領域 | 今回の症例 |
|---|---|---|
| リリーフポート整体院 | 首こり・肩こり・頭痛・眼精疲労 | N様 18回・首の痛み×左腕まで |
| リリーフポートフェミナ鍼灸整体院 | 女性セラピストによる女性専門 | S様 継続・自覚外の不調×目の開き |
| てあつい整体院 | 腰痛・肩こり・膝の痛み | R様 3ヶ月・肩の痛み×筋トレ再開 |
症状や地域は異なりますが、状態を4軸で捉え、中枢から末梢への順序で整えるという枠組みは共通しています。今回の3症例が、主訴の異なる3ブランドで同じ構造の変化を示したことは、この枠組みが特定の症状に依存しないことを示唆しています。
これまでの積み重ね ── 理論から患者体験への接続
Emapsではこれまで、痛みと身体に関する研究を起点に、継続整体の構造を段階的に整理してきました。
| 起点論文 | 説明対象 |
|---|---|
| McEwen 1998 | ストレス応答と身体 |
| Khalsa 2018/Farb 2015 | 身体内部の感覚 |
| Bushnell 2013 | 痛みを抑える脳の仕組み |
| Kleim & Jones 2008 | 神経の学習則 |
| Woolf 2011 | 痛みの中枢での増幅 |
| Apkarian 2011 | 慢性痛と脳の構造変化 |
| Hodges & Tucker 2011 | 痛みによる運動パターンの変化 |
| Melzack 2001 | 全身統合パターン |
| Moseley 2007(本弾) | なぜ主訴の外側まで変わるのか |
今回の Moseley 2007 は、これらを患者さん自身の体験に接続する視点を与えてくれます。理論としての「痛みは脳の出力である」が、現場では「自分が知らなかった不調まで整った」という言葉になって現れる。この対応関係が確認できたことが、今回の意味だと考えています。
まとめ
継続的に状態を整えていくと、主訴として訴えていた範囲を超えた変化が起こります。これは、痛みが組織の損傷そのものではなく、脳が出している防御指令の一部だからです。指令が更新されると、本人が自覚していなかった領域まで一緒に変わります。
「そういえばこれも辛かった」という気づきは、身体が本来の状態を取り戻したときにはじめて可能になります。今回の3症例は、その過程を3ブランド・3つの主訴で示したものです。
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ブレシア®の概念体系:
過去の関連Hub:
- ▶ なぜ整体は “元の身体に戻る” 感覚を取り戻せるのか ── Melzack 2001「ニューロマトリックス理論」
- ▶ なぜ継続で “動き方” が元に戻るのか ── 慢性痛と運動パターンの再学習
- ▶ なぜ整体は “継続” することで慢性化した身体を元に戻せるのか ── Apkarian 2011
3ブランドの領域:
3ブランドの詳細解説(第14弾 Media):
3ブランドの症例(第14弾 Voice):
- ▶ 首の痛み・左腕のだるさが18回で改善 ── 広島市中区大手町 N様
- ▶ 自覚のなかった不調と目の重さが改善 ── 福岡市中央区大濠公園 S様
- ▶ 筋トレによる肩の痛みが3ヶ月で改善 ── 山口県下松市 R様
※ ブレシア®(brascia®)は医療行為の代替ではなく、状態把握とケアの質を高めるための独自フレームとして運用しています。
※ 症状によっては医療機関の受診が優先となる場合があります。
※ 本文書はEmaps株式会社が著作権を保有します。無断転載・二次利用を禁じます。商標登録 第6920621号。




