顎関節症になると、あごの周りの筋肉が緊張してしまいます。そうすると咀嚼の際に動きにくさと痛みで無駄に力が入り、肩周りや首周りの筋肉も緊張してしまいます。今回は、顎関節症と肩こりの関係についてご紹介していきます。
顎関節症とは、顎関節にある繊維組織(関節軟骨)のズレ、顎を動かす筋肉の炎症、顎関節の骨が変形、などが考えられます。症状は、「口を開けると痛い」「口を大きく開けられない」「口を開けた時に顎やこめかみがカクカクなる」といったものです。
顎関節症になると、顎の筋肉が緊張状態になります。
顎の筋肉が緊張すれば、すぐ近くにある首や肩の筋肉も緊張し、肩こりや首のこりを引き起こします。
加えて、顎関節症の痛みにより体に力が入ってしまい、それが肩こりを引き起こすことも少なくありません。
◯片方の肩や首に強いこり
顎関節症の原因として、噛み合わせや姿勢の悪さ、頬杖をつく癖といったことが挙げられます。顎関節症になる人には体の左右に歪みを抱えていることも多いため、これにより、肩こりの症状にも左右によって違いが生まれやすくなります。
◯左右の目尻や口角の高さが違う
顔のパーツの歪みや、使い方の癖で顎関節症が引き起こされることもあります。
わかりやすいのは、左右の目尻や口角の高さです。
鏡の正面で、左右の目尻や口角の高さを確認してみましょう。
左右差があり、肩こりに悩まされているのであれば顎関節症が原因かもしれません。
◯ストレートネックになっている
首を形成している骨を横から見てみると、本来は自然なS字カーブが描かれていますが、姿勢の悪さや首周辺のケガなどでカーブが失われ、真っすぐになってしまうことがあります。
これをストレートネックといいますが、ストレートネックでは首が受ける衝撃を吸収できないため、首周辺の筋肉に大きなストレスがかかるのです。
顎の筋肉も影響を受けやすいため、ストレートネックから顎関節症、そして肩こりと繋がっている可能性が考えられます。
◯歯ぎしりや食いしばりがある
歯ぎしりや食いしばりは、顎関節症を引き起こす原因のひとつです。
歯ぎしりや食いしばりの癖に加え、ひどい肩こりがある場合は、顎関節症が関係しているかもしれません。
◯口を開けたり、咀嚼したりすると痛みがある
顎関節症の特徴的な症状が、口を開けた時や咀嚼時の痛みです。
よって口を開けた時や咀嚼時の痛みと肩こりは、顎関節症のサインとも言えます。
◯その他の判別方法
上記で挙げた例以外でも、食べ物を左右のどちらかで噛む癖がある、食べ物や飲み物を飲み込みにくい、うまく表情を作れない、話しづらい、頭痛といった症状があれば、顎関節症が肩こりの原因になっている可能性があります。
◯顎の筋肉を緩められる
顎関節症では、顎の筋肉が緊張状態になっています。
顎の筋肉が緊張すれば、その周辺にある首や肩などの筋肉も緊張し、それがこりの原因となるのです。
よって顎関節症を治して顎の筋肉の緊張状態を解いてあげると首や肩の緊張も緩み、肩こりが改善します。
◯ 顎の痛みが解消する
顎関節症の痛みにより、肩に余計な力が入っていることがあります。
そのことが原因で肩こりになっている場合は、顎関節症を治して顎の痛みから解放されることで、肩に力が入ることがなくなり、肩こりが改善するのです。
◯ 姿勢がよくなる
そもそも顎関節症には、姿勢の悪さが関係していることが少なくありません。
姿勢の悪さにより顎関節症を発症し、顎関節症の痛みでより姿勢が悪化する、という悪循環を起こしていることもあります。
その悪循環を断ち切ることにより姿勢が良くなり、体の歪みが原因である肩こりの改善が見込まれます。
◯ 肩こりが悪化の一途をたどる
顎関節症が肩こりの原因となっている場合、顎関節症の痛みでさらに肩に力が入る、体が歪むなどします。結果、肩こりは悪化の一途をたどっていくでしょう。
◯口の開閉がスムーズにいかなくなる
顎関節症を放置すると、繊維組織のずれが大きくなる、筋肉の緊張状態が進む、筋肉の炎症や骨の変形が悪化するなどで、最後には口の開閉がスムーズにできなくなります。
また機能的には問題がなくても、顎関節症の痛みがあることで無意識に口を大きく開けられなくなることもあるのです。
◯五感に異常が出てくる
顎に近い歯や舌の痛み、味覚異常の他、目の疲れや耳鳴りなど五感にまで影響していきます。さらに悪化すると、手足のしびれや呼吸のしにくさを感じるといった非常に怖い状態になることもあるのです。
◯うつ病の引き金となる
顎関節症による不眠や痛みなどによりうつ病になる場合と、顎関節症を引き起こす原因とうつ病と引き起こす原因とが似通っていることにより、両方を発症する場合とがあります。
後者では、例えば体の歪みが原因で噛み合わせが悪いままでいると、脳が大きなストレスを感じ、ささいなことでうつ病を発症しやすくなるということです。
◯耳鳴りがするようになる
耳が付いている側頭骨と下顎の骨によって構成される関節が顎関節です。そのため顎関節症になると耳にも影響を及ぼし、耳鳴りという症状として現れることがあります。
◯めまいが起こるようになる
私たちは、内耳にある三半規管と耳石器の働きにより、体の平衡感覚を保っています。顎関節症の影響が耳に及ぶとそれらの器官や働きにも異常をきたすようになり、平衡感覚を失ってめまいを起こすようになるのです。
◯自律神経失調症の原因となる
自律神経は、活動したり緊張したりすると働く交感神経と、休んでいるときやリラックスしているときに優位に働く副交感神経から成り立ちます。
本来、両者の神経は状況に合わせてバランスをとって働いていますが、顎関節症により脳がストレスを感じると、交感神経ばかりが優位に働いてしまいます。
その結果バランスが崩れ、自律神経失調症をきたすことがあるのです。
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