鍼灸とは、鍼(はり)や灸(きゅう)で身体を刺激し、身体が本来もっている自然治癒力を高める中国発祥の伝統医学です。
鍼は筋肉やツボの深部まで刺激を入れることが可能で、筋肉に直接刺すと血流改善などが期待できます。
また交感神経の過緊張状態の抑制に働き、痛み、コリ、めまい、吐き気、手足の冷えになどに有効とされております。
灸は身体に熱を伝えて温めたり、微小な熱傷を起こし白血球などを増殖させ免疫力を上げたりすることが可能です。
また副交感神経の過緊張状態の抑制に働き、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、じんましんなどに有効とされています。
*鍼灸の効果はWHO(世界保健機関)に有効性を認められています。
近年NIH(米国国立衛生研究所)の見解として鍼灸療法の効果、科学的根拠、西洋医学の代替治療として効果があると発表されています。
鍼灸の科学的な根拠のある4つのメカニズムを紹介いたします。
A)体性-内臓(自律)反射:内蔵、自律神経のコントロールを行い調整する作用があります。
B)軸索反射:鍼灸を施術した部位の血管を広げたり、血液の流れを良くしたり、痛みの物質を流すなどの作用を出します。
C) 鍼麻酔(鍼鎮痛):鍼灸の刺激は脳に伝わり、やがて鎮痛効果のある物質を分泌、また放出し、痛みを和らげます。
D)ゲートコントロール:鍼灸を施術することで、痛みを脳に伝える前段階で痛みの抑制をかけ、痛みを和らげます。
鍼を打つ事で内臓器や自律神経の興奮や抑制を行うことが出来ます。
内臓から身体への反応を内臓‐体性反射といい、心臓の痛みが肩に出る、胃の痛みが背中に出る、腎臓、膀胱の痛みが腰痛になって出る、などお聞きになったことはありませんか?
皮膚と臓器の刺激は同じ脊髄で処理が行われるので、内臓の痛みを皮膚が勘違いしたり、皮膚の痛み(刺激)を内臓が勘違いしたりします。
そのメカニズムを利用し、皮膚に鍼で刺激を入れ内臓器の調整を行うのが体性‐内臓反射です。
鍼を打つと刺激を伝える神経は二つに分かれ、脳へ伝わる神経と、途中にある受容器(ポリモーダル受容器)に反応してUターンをする神経に分かれます。
後者を軸索反射と言い、鍼の刺激を受けた皮膚へ伝達物質が分泌して、血管を広げたり、血液の流れを良くしてフレアと言う紅斑を起こしたり、痛み物質を流す作用があります。
そのため筋肉痛や、循環が悪くなって硬くなってしまった筋肉、肩こり、腰痛などに効果が期待できます。
鍼灸の刺激が脳に痛みを和らげる指令を出します。
皮膚から脊髄、そして上に上がり脳の視床下部、下垂体と言うホルモンを多く分泌するところに伝わります。
そこでドーパミンやβ‐エンドルフィンなどの脳内麻薬物質を出して痛みを和らげます。
また、視床下部でのもう1つ枝分かれ(下行性痛覚抑制系)が脊髄まで戻ってきてセロトニンやノルアドレナリンを分泌して痛みを遮断します。
効果が出るまでに時間はかかりますが、急性や慢性の痛みに関わらず幅広い症状に効果が期待できます。
β‐エンドルフィン(ベータエンドルフィン)
モルヒネと同様の作用をもつ。
鎮痛作用はモルヒネの約6.5倍
幸福感、多幸感をもたらし、ストレスなどの侵害刺激に対して鎮痛、鎮静に働く。
マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用「ランナーズハイ」もβ‐エンドルフィンの分泌が関与していると言われている。
ゲートコントロールを分かりやすく言うと、みなさんも経験があると思いますが、膝などを打撲したとき、手でさすっていたら痛みが緩和した。などの経験はないでしょうか?
説明:ゲートコントロールとは痛みを脳に伝える刺激の量をあるゲートによってコントロールする方法です。
刺激の伝わり方には、痛みを伝える神経線維と鍼灸やマッサージなどの刺激を伝える神経線維の二種類が存在します。
形も大きさも異なっていますがその両方の神経は脊髄にある細胞「膠様質」によって1つの神経となり、刺激を脳に伝達します。
この膠様質がゲートの役割をしており、痛みの刺激は鍼灸やマッサージの刺激が入ることで痛み神経に抑制をかけて痛みをコントロールすることができます。
そのため、急性外傷(捻挫、打撲、肉離れ)などに効果が期待できます。
NIH(米国 国立衛生研究所)による、鍼灸療法で有効性がある病気には、次のものがあげられています。
【神経系疾患】
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
【運動器系疾患】
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
【循環器系疾患】
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
【代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
【婦人科系疾患】
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
【耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
【小児科疾患】
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
上記疾患のうち「神経痛・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腰痛」の慢性症状についおて、鍼灸の健康保険の適用が認められています。
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